津波堆積物の再資源化による人工地盤造成
塩竈市中倉埋立処分場における試験施工


塩釜市中倉埋立処分場は,2011年7月末をもって計画の容量に達するため閉鎖の予定でした.しかし,3月11日の大震災を受け,津波によるガレキの一次集積所として稼動せざるを得ない状況になり,大量のガレキや津波堆積物を受け入れています.塩竈市役所のご協力を得て,約400m3の津波堆積物に繊維質固化処理土工法(ボンテラン工法)を適用し,再資源化のための試験施工を2011年8月22日〜9月3日に実施しました

室内試験
室内試験の目的は,試験施工の際の古紙破砕物およびセメント系固化材の配合量を決定することです.配合量決定のための室内試験は一軸圧縮試験とし,改良土の強度および破壊ひずみについて改良目標を,強度123kN/m2以上,破壊ひずみ5%以上と設定しました.室内試験の結果より,これらの目標値を満足する添加量として,古紙破砕物25kg/m3,セメント系固化材81kg/m3と決定しました.

試験施工概要
中倉埋立処分場に運び込まれた津波堆積物には,図-1に示すように様々な大量のガレキが含まれていました.そこで試験施工では,初めに津波堆積物に含まれる種々のガレキを除去する分級作業から行いました.本施工では,日立建機(株)の協力を得て自走式スクリーンVR408をお借りし,ガレキの分級作業を行いました.分級作業の様子を図-2に示します.

図-1 津波堆積物に含まれる種々のガレキ 図-2 分級作業の外観(日立建機VR408(左)
右のパワーショベルはZAIS200

この現場の津波堆積物は,ガレキの量と土砂分(ヘドロ)の量がほぼ同程度であったため,約400m3の津波堆積物を分級した結果,ガレキが除去されたスクリーン下の津波堆積物の量は約200m3となりました.次に,繊維質固化処理土工法を用いて,約200m3の津波堆積物を地盤材料に再資源化しました.
まず水槽に所定量(約12m3)の津波堆積物を投入し,次に投入した津波堆積物に対して,25kg/m3の添加量になるように古紙破砕物を添加し,攪拌・混合を行いました.図-3に攪拌・混合の様子を示します.古紙破砕物と津波堆積物がほぼ均一に攪拌・混合された後,室内実験で決定した添加量(81kg/m3)になるように,セメント系固化材を添加しました(図-4).

図-3 古紙破砕物の添加・混合 図-4 セメント系固化材の添加・混合

改良土は,処分場における廃棄物の覆土として全量再利用される予定ですが,改良終了時には廃棄物の厚さが所定の厚さにまで達していないため,後日,覆土として再利用されることになっています.そのため,改良土はパワーショベルにより水槽から取り出され,ショベル脇に仮置きすることにしました.図-5は改良土をパワーショベルで転圧している様子であり,図-6に完成した地盤材料を示します.

図-5 ショベルによる改良土の転圧 図-6 完成した地盤材料(覆土材料として仮置き)


本施工は,下記のメディアに取り上げて頂きました.お礼申し上げます.
NHK WORLD NEWSLINE
KHBスーパーJチャンネルみやぎ
河北新報
日刊建設工業新聞
日刊建設産業新聞